7月6日、ホモコントリビューエンス研究所を発足し、「人間の貢献心を呼び覚まし、活かすために」というテーマで、以下出席者※による自由討論形式での研究会を開催しました。

※順不同
奈良康明(駒澤大学 総長、曹洞宗総合研究センター 所長、法清寺 住職:インド哲学、仏教学)
加藤尚武(鳥取環境大学 学長、京都大学 名誉教授、日本哲学会 会長:哲学)
相澤益男(東京工業大学 学長:生命理工学)
大野典也(ハーバード大学 客員教授、東京慈恵会医科大学遺伝子研究所 前所長:医学)
滝 久雄(株式会社NKB 社長、株式会社ぐるなび 会長兼CEO、財団法人 日本交通文化協会 理事長、ホモコントリビューエンス研究所 会長)
滝 裕子(英文学者、財団法人 日本ペア碁協会 理事)
佐藤純一(ホモコントリビューエンス研究所 事務局長、国際メタテクノロジー研究所 所長:材料工学、工学倫理)

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研究所発足に際して、会長 滝久雄からのメッセージを以下に紹介します:

人間は貢献するヒト、即ち貢献人である。我々がこの世界で生きていけるのは、社会的動物として、たがいに他者に配慮し、他者につくしあい、「生かし、生かされている」ことに、高度情報化技術社会の地球人口100億の21世紀にたって、あらためて思いをいたす時にある。我々は、知性人、ホモ・サピエンスと工作人、ホモ・ファーベルとならんで貢献人、ホモ・コントリビューエンスとして他者へ貢献する本能的資質を天より与えられているのではないだろうか。そして、日常の生活のなかでこの貴重な天与の資質を覚り、他者に貢献することが、他者から生かされることと重なって自分も社会の中で共に生かされていくのである。近代は、心身2分の考えに立ち、物質・経済、社会的地位を最優先にし、政治力、経済力、軍事力そして知識力などあらゆる面で「力」による他者への凌駕が優先され、常識化している。

しかしながら、近代科学、高度技術による成果を得て、豊かで幸せな人間生活と環境が実現されることへのすべての人々の期待にもかかわらず、新世紀は、地球環境破壊、戦争による平和の破壊、低開発国における極貧、工業先進国における社会劣化など、前世紀からの問題を解決するどころかむしろ拡大的に引き継いでいると言わざるを得ない。そして、これらの問題は、すべて人間が自らが原因となって作りだしたものであり、その克服は人間自身にかかっていることは言うまでもない。

このような考えを踏まえて、我々は、人間の原点に戻って近代合理主義と物質主義に置き去りにされた「本来の人間の生き方」を再認識し、実践の道を探る場として、小さいながらこの研究所を開くことにした。その主な目的は、他者への貢献本能の目覚めをはかることによる、ホモ・コントリビューエンスの活動実践の展開にある。先ず第一歩として、自然科学、技術、人間学、哲学、宗教などの分野の有志が、意見交換と討論を通じて研究の共通課題や方法についての方向を探索し、さらに次の実行の段階へ向かうこと目指して、研究会を始め、その報告を世に問うことにした次第である。